ハワイといえばフラダンスという文化が有名ですが、ほかにも注目すべきメレという文化があるのをご存知ですか?
日本では、どちらかといえばフラのほうが浸透しているイメージがあり、メレという言葉を聞いたことがない方も多いかもしれません。
メレはフラと同様にハワイで愛されるとともに、関連するイベントが世界からも注目されています。メレを知ることでハワイに対する魅力をさらに理解できるようになりますよ!
今回は、メレとフラとの違いがわかるように、それぞれの概要をはじめ、歴史や目的、楽しみ方などを解説します。メレとフラの関係についてもまとめているので、ハワイの文化を深く知りたい人はぜひご一読ください。
ハワイにおけるメレとは?
ハワイにおけるメレは音楽に関する言葉を意味します。ただ、音を楽しむためだけの概念ではありません。ハワイの文化において、さまざまな側面から重要な役割を果たしてきました。
早速、ハワイにおけるメレの概要をはじめ、歴史や目的などを解説していきます!
メレの概要
ハワイ語のメレ(mele)は、歌や詩などをあらわす言葉です。ハワイ音楽の原点ともいうべき存在だといわれています。
メレについての概要を把握するために、関連する用語をまとめてみます。
関連用語 | 意味 |
---|---|
メレ・イノア | イノアは名前という意味。特定の人をたたえる歌という意味になる。 |
メレ・マイ | マイは生殖器という意味。子孫繁栄の歌という意味になる。 |
ハク・メレ | ハクは編むという意味。ソングライターという意味になる。 |
そのほか、ハワイで有名な言葉がメレ・メイです。メレ・メイは4月25日から始まるハワイにおける音楽の祭典です。5月いっぱいワイキキを中心にハワイ各地でコンサートやショー、ワークショップなどが開催されます。
HARA(ハワイ・アカデミー・オブ・レコーディング・アート)がハワイ音楽を文化として広く知ってもらうことを目的に2011年から開始しました。
多くのミュージシャンがハワイ音楽を奏で、世界各国からハワイの音楽ファンが集まってくるとのことです。ワークショップでは、ウクレレやスラックキーギターの楽器演奏方法をはじめ、作曲法や音楽教育などの講座が開かれることがあります。
このようにメレは、ハワイだけでなく世界の人々からも注目される音楽文化となっています。
今後のメレ・メイの開催については詳細が確認できませんでしたが、ハワイのメレについて理解したい方はイベントの動向に注目して、タイミングがあえば参加してみてはいかがでしょう。
メレの歴史
ハワイ語は言葉を表記する文字を持っていなかったことから、情報伝達は口承が基本となっており、詠唱(チャント)を意味するメレはハワイ文化の根幹となっていました。
メレは、神々の誕生や人の死生、首長の誕生などの儀式で、メア・オリ(詠唱者)によって唱えられていたようです。息を吸ったあとに一気に詠唱されていたことが知られています。
また、昔は立場の偉い高貴な人に関係のある歌詞しか作れず、当事者でしかわからない意味が言葉に隠されることもあったようです。
たとえば、雨や滝という意味のあるメレには、愛という意味が隠されているといいます。
このようにメレは情報伝達の手段として使われてきた歴史があります。
したがって、ハワイの過去やライフスタイルを紐解く図書館のような存在ともいえそうです。
メレの目的
メレは人や出来事、島などをたたえるために歌われます。たとえば、ラナイ島をたたえる歌として「メレ・オ・ラナイ」があります。
歌詞の内容は下記の通りです。
これはラナイ島の歌
諸島のなかの小さな島
小さく思われ言われる
大きな存在の島
島の花はカウナオア
美しさはレフアを超える
色はゴールドのよう
まるで太陽の光
この島の名物
パイナップル、繁栄もたらす
知らしめたあなたの名
人々に恩恵を与えて
伝えられるこの歌に
あたたかいその名はラナイ
小さいあなたに大きなアロハ
忘れられることのない
(訳詞:よしみだいすけ)
歌詞を見るだけでも、島を愛している気持ちが伝わってきたのではないでしょうか。実際に歌われるときには、楽器で音楽も演奏されます。メレが始まると、陽気なムードで場が和み、歌う人はリズムにあわせてとても楽しそうな表情を浮かべます。
ハワイにおける文化、考え方、価値観を深く知りたい方は、メレの歌詞に着目してみましょう。
ハワイのメレを楽しむ方法
ここまでメレの概要や歴史、目的などについて解説しました。メレに興味が湧き、自分も音楽の文化として楽しんでみたいと思った方もいるのではないでしょうか。
引き続き、メレの楽しみ方についてまとめてみたので、取り入れられそうな方法があればぜひ試してみてください!
ハワイ出身の歌手を探す
ハワイ出身の歌手を探して、お気に入りの歌を探す方法があります。
たとえば、ハワイでトップクラスの実力と人気を誇るアーティストとして、ナタリー・アイ・カマウウが挙げられます。
ナタリー・アイ・カマウウは、2005年にソロハワイアンシンガーとしてアルバムデビューを果たし、2018年までにオリジナルアルバムを4枚リリースしました。
オリジナルアルバムは4枚ともNā Hōkū Hanohano Awards の女性ボーカリスト賞を受賞しています。
トラディショナルなメレを中心として伸びやかなヴォーカルを堪能できるアルバムもあります。
ナタリー・アイ・カマウウはハワイの歌姫と呼ばれ、日本のファンを魅了し続けています。ハワイの音楽文化を知るために、彼女の歌を聴いてみてはいかがでしょう。
参考:Natalie Ai – A He Nani Ke Ao Nei(ハワイ州観光局)
メレ旅に出かける
メレを楽しむ方法としてメレ旅が挙げられます。メレ旅はメレで歌われた景色を見つける旅のことです。
方法には特別な決まりはありません。運転に慣れている方であればレンタカーで景色を探してもよいですし、気軽に楽しみたいのであれば詳しい方にガイドしてもらうのもよいです。
歌に出てくる景色を実際に目の当たりにすることで、メレを聴いたときに浮かぶ情景が変化するかもしれません。
ハワイ旅行にメレ旅を取り入れることで、ハワイの魅力をさらに深堀してみてはいかがでしょう。
ハワイにおけるフラとは?
メレは音楽に関する言葉だということがおわかりいただけたと思います。ハワイでは、歌だけでなく踊りの文化にも大きな特徴があります。
ハワイの踊りをあらわす代表的な言葉がフラです。ハワイに行ったことがない方でも、一度は聞いたことがありますよね。
ただ、フラはハワイでどのような意味を持っているのか、よくわからない方もいると思います。引き続き、ハワイの文化を理解するために、フラの概要や歴史、目的などを解説します。
フラの概要
ハワイ語でフラはHulaとあらわされ、意味はハワイアンダンスをさします。日本ではフラダンスという言葉が浸透していることから踊りをイメージしがちですが、フラには演奏や歌唱、詠唱なども意味として含まれています。
身振りとジェスチャーは言葉と連動していて、動きには具体的な意味があるとのことです。ハワイ国王(第7代目)であったデビッド・カラカウアによると、フラは「心の言語」「ハワイ人の心臓の鼓動」と表現されていました。
フラには、現代的なアウアナと古典的なカヒコという種類があります。
アウアナは、50年前くらいから広がったウクレレの演奏にあわせて踊るスタイルのフラです。年齢に関係なく誰でも自由に楽しめます。
その一方でカヒコは、神に捧げるために修業した男性だけに認められていたフラです。伝統にもとづき振付や衣装、楽器などに厳格なルールがあります。
フラの歴史
フラは神々に捧げる神聖な踊りとして知られるだけあって、古くから伝わってきた歴史があります。
諸説はさまざまですが、ハワイ諸島の一つであるモロカイ島の洞窟で女神ラカが初めて踊った踊りがフラだといわれています。そのため、ハワイではラカを祀る祭壇のあるフラ学校が多いとのことです。
先史時代のハワイでは、音楽ではなくチャントや太鼓の音とともに踊られていたとされ、手の動きで虹や雨、花、波などを表現していたといわれています。
ハワイ王朝が成立してからフラに大きな転期が訪れました。アメリカから渡ってきた宣教師はフラがキリスト教を脅かすことを危惧し、ハワイの王族に禁止令を発令させます。
フラは野蛮でみだらなものとして称され、50年にわたって禁止されました。しかしその後、デビッド・カラカウア王がフラの復活に尽力します。
クラシック音楽やピアノなどの輸入にともないハワイアンミュージックも誕生し、フラは音楽にあわせて踊るスタイルを確立していきました。
フラの目的
ハワイにおいてフラは、文字を持たないコミュニケーションの手段だったといわれています。
神に感謝する気持ちや、言葉で表現しきれない気持ち、後世に伝えたい出来事などを表現するために踊られてきました。近年では、耳や口が不自由な方からも親しまれ、施設でもワークショップが開催されるようです。
また、フラには健康的な効果も期待されています。たとえば、フラは腰を常に動かすので、ウエストの引き締めに適しているとのことです。
フラで使われるハワイアンミュージックにはウクレレが用いられ、優しいメロディによって心が癒される方も多いといいます。
笑顔で踊るのが基本であるため、自然に前向きな気持ちになり、ストレス解消や免疫アップなどの効果も期待できるとのことです。笑顔は、自分だけでなく踊りを見る人まで癒し、幸せな気分にします。
このようにフラは、心を表現するためのコミュニケーションや、健康的に明るく過ごすための運動など、さまざま目的で実施されます。
ハワイのフラを楽しむ方法
メレと同様にフラに興味が湧いたけれど、どのように楽しめばよいのか、わからない方もいると思います。フラはハワイで楽しめるのはもちろん、日本で楽しむ方法もあります。
引き続き、気軽に試せるフラの楽しみ方をご紹介するので、気になった方法があれば試してみてください!
フラダンスショーを見に行く
ハワイではさまざまな場所でフラダンスショーが開催されています。
たとえば、ハワイ最大のショッピングモールであるアラモアナセンターでは、毎日17時から20分間にわたって、センターステージで華麗なフラショーを無料で公開しています。
伝統的なフラと現代的なフラの両方が披露されているとのことです。
ダンスのクオリティーが高いだけでなく、ダンスをしている人の笑顔が素敵で感動していた方も見受けられます。
ハワイ旅行に出かけるときは、フラダンスショーが開催されるスポットに目星をつけておきましょう。
フラダンス教室に通う
フラダンスショーを見るだけでなく、自分で踊ってみたい方もいますよね。
フラを自分で踊って楽しむ方法としてフラダンス教室に通う方法があります。ハワイでなければ学べないように思う方もいるかもしれませんが、日本でもフラダンススタジオが開校されています。
いきなり始めるのに抵抗があるようであれば、無料体験レッスンに参加するのがおすすめです。フラの概要や先生、クラスの雰囲気、レッスンの難易度などをあらかじめ確認できるので、挫折してしまうリスクも減ります。
基本的にはインターネットで「フラダンス教室」と調べると、自分が住んでいる県や地域の教室が検索結果に表示されます。
フラに興味がある方はぜひ検索してみてはいかがでしょう。
ハワイのメレとフラに関する気になるQ&A
ここまでハワイの代表的な文化であるメレとフラについて解説しました。メレとフラの概要がわかり、それぞれの違いについて理解を深められただけでなく、よりハワイに親しみが湧いてきたのではないでしょうか。
引き続き、メレとフラについてさらに理解を深めていただくために、メレとフラに関する気になる疑問について解説していきます。
まとめ
今回は、ハワイにおけるメレとフラの概要をはじめ、歴史や目的、楽しむ方法などについてご紹介しました。
メレは、ハワイで歌や詩などをあらわす言葉です。ハワイ音楽の原点ともいうべき存在であり、メレ・メイという音楽の祭典がワイキキを中心に定期的に開催されています。
メレは、人や島、出来事などをたたえるために歌われることが多く、歌詞に登場した景色を探すメレ旅という楽しみ方もありました。
フラは、ハワイアンダンスをさす言葉です。現代的なアウアナと古典的なカヒコという種類があります。アメリカから渡ってきた宣教師によって長い間禁止されていましたが、デビッド・カラカウア王によって再興されました。
フラは、腰を常に動かすことからウエストの引き締め効果が期待されているほか、踊るときの笑顔がポジティブな気持ちを生じさせるという見方があり、健康目的で踊られることもあるようです。
フラとメレは全く異なる文化ではありません。フラはメレの意味を踊りによって表現するために使われたといいます。
フラとメレについての見解はさまざまです。ハワイに訪れたときは、現地の人々と交流して、フラとメレの文化について詳しく聞いてみてはいかがでしょうか。